作家の未斗です。
古い家具が好きです。
というより、昔に作られた物は今より長く使う事を見越している気がします。
状態がいいものやブランド価値の高いものはアンティーク、骨董として高額で市場に出回りますが、そこまで古くもなく、傷みがあったりすると町のリサイクルショップで安価に購入できたりします。いわゆる中古品。
(こういうのをラビッシュというみたいですね。アンティーク、骨董という言葉は本来製造してから100年以上経ち、なおかつ状態のいい物に使用するので。)
机一つ買うのでも、新品で安い物を買うより、少し高いお金をだしても古くて元の質がいいものが欲しい。
桜の木?のどっしり重い机を作業机ように購入しましたが、かわいいのなんの。
足なんか猫足だし引き出しの取っ手もいい具合に金属が腐食していて。最高です。
生きていく上で必要な物なんて数限られているはずなので、身の回りの物はなるべく好きな物でうめつくしていたい。
合板の家具は本当は好きではないですが、仕方ない。大きな物はさすがに値がはるので量産品の合板本棚なんかを買っちゃったりします。
ですが、時間がかかってでも少しずつ好きな物を集めていつか、本当に好きな物に囲まれて過ごす事が小さな夢です。
別に高い物である必要は無い。自分にとって居心地の良い物っていうのは
清潔感があっても簡素で無表情な物より、重たかったり多少ゆがみがあっても誰かに大切にされてきた、今後は私の想いも少ししみ込ませてくれそうなそんなもの。
赤文字系雑誌のかわいいになろうと試みた時期もありましたが、年齢でしょうか。
最近はずいぶん自分に素直になっている気がしています。
沢山の事を良い意味で(たぶん)あきらめられるようになってきました。
好きな物。そうでないもの。
単純な好みです。皆違うもの。
なのにどうして、違うという事を楽しんだり、異なる事が前提だからこそ合致したときの喜びだったりを楽しめない事が多いのでしょう。
他人や自分のつくりあげた
「こうでなくちゃ」
に、プライベートな物事まで支配されてしまうのはつまらないことだと感じます。
着物も同じくで、古い物が好きです。
最近は自分で制作した「帯留」を利用者の目線で見られるようにと率先して着物を身につけるようにしているのですが、ゼロがふたつくらい多いような高価な物はもちろんとうてい手がとどかない。
そこで探すのはやはり中古品。
柄も現代の物(安価な物)で好きな物はすくなく、古いもののほうがしっくりきます。
しかしあれですね。「中古品」というとどうしてもイメージが悪いのでちょっと横文字を拝借してラビッシュと呼んでみようかしら。
そんなラビッシュは安い物だと1000円から買えたりするのです。
私も大正時代の正絹の着物を3500円で購入したりしています。安い。
サイズや状態をきちっと確認する必要はありますが、楽しいです。
なにがどう好きなのかって言われると、具体的に説明できないので勉強不足なのですが、
着物に関しては古い物のほうが遊び心のあるものが多いのは確か。
モチーフなんか結構ぶっとんでます。
家具、着物。考えると昔から機能美が好きでした。
中学生の終わり、進路について考えていたとき。そしてまだ七宝焼に出会っていなかった頃。インテリアデザイナーとか、家具に関係する仕事に就きたいと考えたこともありました。
しかし自分の大雑把すぎる性格を認めて断念。
服飾関係の道も考えましたが、同じ理由で始める前にあきらめました。
あきらかに向いていないと解ってしまうと、いくら好きでもあきらめざるを得ないものですね。デザインはできたとしても、それを使用したり身につけたりできなければ意味が無い。
感覚優先派としてはミリ単位での正確さを求められる技術を習得できる気がしなかったのです。
そして16歳になってすぐ出会った七宝焼。
感じた事を瞬時に表現できる柔軟な技法。
設計図やデザイン画はなくてはならないものではなく、完成形をイメージしなくてもいいという魅力。(時と場合にもよますが基本的には。)
もちろん多少の計画性は必要ですが、そこまでじゃない。
完成形が決まっていると、たとえそれが自分の決めた物でも作業がまったく進まなくなってしまう私は七宝焼に初めて出会った時「これだ!」とかんじたこと。
間違ってなかったです。
ですから彫金は苦手。2年ほど勉強しましたが、ワックス(型をつくって銀を流し込むような技法)は大丈夫でしたが鑞付けの作業が入ってくると完成までの行程を逆算して鑞の種類を考えなくてはいけなかたり、切断でもミリ単位での正確さが必要とされてきます。
身体がムズガユくなります。
好き嫌いもそうですが、得意不得意も大切ですね。
得意な物で好きだと思えるものに出会えた場合。
それは幸運なことなはず。
七宝焼に出会えた私ももちろん幸運。ありがたいです。
さて、まだまだ寒い時期が続きます。
先日深夜に消防車の音が聞こえたので、窓からのぞいてみると目の前の道路を消防士さんが走り回っていました。
寝ぼけて窓を開けたので落ちそうになったこと、外の空気の冷たさと、そこに広がる光景を前にして目が覚め、思わず家の外まで様子を観に行きました。
なんというか、異世界でした。
心配のドキドキと、不謹慎ながら高揚している自分。
出火元は3軒となりのアパートでボヤ騒ぎだったらしく安心しましたが、空気も乾燥し、自分自身高温を扱う仕事をしているのでドキッともしました。
火の用心です。
炉はもちろん、眠りにつく直前までついているストーブにも注意しなくては。
皆様もどうぞお気をつけてお過ごしください。