七宝焼の伝統技法”本七宝”

2015/10/06 mito

きものサローネが今週の水曜日スタート、大阪イベントが今週の金曜日スタート。

本来ならばイベント用に制作したお品の紹介をしたいのですが、

実はもう一つ個人的なイベントを控えておりまして、そちらの制作もてんてこまいな為

なかなか紹介記事を書けずにいます。

 

大阪用の帯留、アクセサリーたちは明日発送してしまうので発送前に忘れずに写真を撮り、

少しでも紹介をします!!

 

 

本日のブログの内容はもう一つの個人的なイベントについて。

 

20歳のころから「日本七宝指導者協会」という七宝焼の正しい後継者を育てる為に良い指導者を育てましょう。という協会に属しています。

年に一度、協会員の発表の場があるのでそちらに出品するための作品づくりについてです。

七宝焼オタクっぷりが発揮されるブログになってしまいそうです。

 

16歳の時に出会い、楽しいな〜とぼんやりとした気持ちでスタートした七宝でしたが、

今では伝統技法を継承したい。50歳くらいになったらそれまでに身につけた技術を教え伝えたい。

と考えるようになりました。

 

 

kimitoの帯留やアクセサリーは平面ですが、立体の七宝焼というものもあります。

美術館に飾られているようなちょっと仰々しい壷とかですね。

 

協会展に出品する作品の一つは立体作品です。

 

立体と平面では使用するユウヤクの成分が異なり、難易度も10倍の差じゃキカナイ気がします。

平面作品の制作過程を説明するのもとんでもなく長い文章になってしまうのですが、

立体はそれ以上。

工程が多すぎます。

ですので、本日お伝えするのは立体の、仕上げ直前のあたりからざっくりと。

 

 

立体物には「有線七宝」という技法を使用する事が一般的で、主に純銀の平線を使用します。

(純金、純銅、丹銅の線も使用できます。丸線も。)

まずはこの銀線を曲げたりのばしたりおったりをピンセットでちまちました後、焼き付け、

その後、隙間にユウヤクをつめていきます。

 

平面作品を制作する際は、ユウヤクの”粒子”を意識する事はほとんどないのですが、

立体は一粒一粒に対して意識がいきます。

というのも、立体のユウヤクは「硬い」から。

重力に逆らった状態で800度に入れてもユウヤクがでろーんと溶け垂れないように

ゆっくりじんわり溶けるよう、硬い成分になっているのです。

この硬いユウヤクを使用した七宝焼のことを、タイトルの「本七宝」と呼ばれるものになります。

そのため、隙間があると、隙間がそのまま仕上げに表れます。穴があくという表現を使います。

やっかいですねー!神経使います。

 

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こちらは、そのやっかいなユウヤクを2度焼き付け、仕上げの磨きの途中画像。

ダイヤモンドのヤスリで磨き上げていきます。(消耗品なのに高い!ダイヤをすり減らしながらガラスを美しくする。よく考えるとおかしい気もしますね!)

磨いているとでてくるユウヤク(ガラス)の粉で本体を傷つけないよう、

水で流しながら磨ぐので、どこを磨いたか磨いてないのかわからなくなります。

 

そこで一旦水からだして、タオルでふいて乾かすと、ヤスリがあたったところはつや消しに。

あたっていないところはつるつると。といった具合に、違いが一目瞭然。

そこに油性マジックでぐりぐりと印をつけ(写真の黒いのが油性マジック)、また水の中で磨いていきます。

これを何度も繰り返し、完璧なつや消しになったら次の工程。

 

また磨き。

 

ダイヤモンドヤスリは4種類あって、粗いヤスリから細かいヤスリに移行していきます。

(これを全部こなすと”磨ぎ仕上げ”という仕上げ方法になります。kimitoの商品は基本”焼き仕上げ”で、焼き艶です。強い光沢がでるため、アクセサリーには断然焼き仕上げが向いています。磨き仕上げは、上品で落ち着いた艶。)

 

ですが!

今回はちょっと試してみたいことがあり、一番粗いダイヤモンドヤスリでストップ。

(今まで作った立体作品はすべて磨ぎ仕上げでした。)

表面が均一にするっとしたところで、再び窯にいれ、焼成。

 

kimitoの商品を作っている最中に思いついた技法を試してみたかったのです!

 

窯から出したあと、ずっとやってみたかったことにチャレンジ。

大阪イベントから帰って来た翌日が指導者協会の初日なので、きものサローネが始まる前までしか時間がありません。

ぶっつけ本番。失敗できない!というこの緊張感。

すごくストレス加わってるのがわかるのですが、同時に神経が研ぎすまされるのがわかるので

心地良いのです。

 

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そして焼き上がり。

大成功!

 

これは背面ですが、反対側には初の試みが施されています。

 

普段は自宅の作業部屋で制作しているのですが、大きい物を焼くときは調布のギャラリーに置かせてもらっている窯を使いに行きます。

で、帰り道。

うきうきしすぎて二度程ころびそうになりながら、なんとかお家へ帰りました。

今もパソコンの横において、眺めています。幸せです。

 

来年はkimito単独の展示会と植木未斗としての個展をかねたものをやるつもりなので

その際に、普段はお見せしていない立体作品も披露させていただきたいと思っております。

今回仕上げたものも、その際に。

 

 

制作工程はだいぶはしょってしまいましたが、kimitoの作品、商品はよく

「どうやって作ってあるのかまったくわからない!想像がつかない!」

と言われるので、今後は少しずつ制作過程も紹介いたします。

 

 

 

 

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今日は偶然に、kimitoのアクセサリーをつけてくださっているかたにお会いしました。

最近は制作していませんが、大きいブローチ。

秋冬は本当にかわいいのですよねえ。一粒パールのネックレスと七宝のブローチ。

素敵な組み合わせでした。

 

 

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大阪のお客様に大阪イベントのご案内をするためお手紙を書いたり、

先日は慣れない撮影をしていただいたりと、あたふたとした日々を過ごしています。

 

風邪なのかブタクサなのか、のどが痒いような気がしていますが

皆様もくれぐれも体調を崩されませんように。

きものサローネ、大阪イベントでお会いできる事を楽しみにしています!