kimitoの七宝焼

2013/04/21 mito

本日は簡単なkimito帯留の制作過程を説明させていただきます。

今現在、kimitoの商品はすべて私の手作業で制作されています。

すべてといっても、銅板は購入します。

厚みや、銅の純度などを業者さんに発注して120×60cmくらいのサイズでやってきたものを、切断していきます。

切断した銅板そのままのものが右。

完成した帯留が左。

Image

見ていただいてわかるように、左の完成品になるまでには何工程もの制作過程があります。ですが、本来七宝焼の定義、「金属板にガラス質ユウヤクを高温で焼き付けたもの」であるため、右の銅板にちょこっとユウヤクを盛り、高温焼成しただけでも七宝焼といえるのです。

 

私の作る物は七宝焼を少しでも見知っている方には毎度、

「これは本当に七宝焼なの?」

「七宝焼には見えない」

などと言われてしまいますが、なぜそう言われることが多いのか。その理由付けをするとすればただ単純に、定義に乗っ取って制作をしているから。となるでしょうか。

めずらしい事をしている、変な物を作っていると思われがちですが、実はただ単に初心に毎日帰っているだけなのです。

伝統的で豪華な有線七宝の作品も作りますが、アクセサリーとして使用することを考えるとどうしても重くなりがちな技法であるという事、手間がさらにかかるためお値段もはってしまうということ。

そのあたりの点をふまえますと、有線七宝にこだわる必要はないんじゃないかしら?

と七宝焼を初めて最初の3ヶ月で感じておりました。

何が良いという訳ではなく、選択肢の量の問題です。

師は、私のわがままや相談を一緒に楽しんでくれるようなかたでしたので今の私が在るのです。

 

どうしましょう、こんな話はとても長くなってしまいます。

ディープになりすぎそうな話題はこのへんにして、簡単な制作行程を!

 

写真左の完成形にたどりつくまでには

①銅板を形に切る。ヤスる。

②銅板をたたく。

③裏にユウヤクを盛る。

④焼成

⑤表に土台となるユウヤクを盛る。

⑥焼成

⑦表に表面に見えるユウヤクを盛る。

⑧焼成

⑨銀箔を貼付ける。

⑩焼成

⑪銀箔の上にユウヤクを盛る。

⑫焼成

⑬さらにその上にユウヤクを盛る。

⑭模様を書き割る。

⑮焼成

⑯ヤスリで整える。

 

完成!

 

乾燥や温め、銅板の油取りなどの細かい行程をいれると訳の分からない工程数となってしまうので割愛。

焼成につきましては6回も焼いてますね!

その時々の使用技法によって変わるので、平均すると5回ほどでしょうか。

 

という感じでkimitoの帯留は作られています。

 

装飾品としてだけではなく、工芸品としての目線からも見ていただけるとまた違った見方を楽しんでいただけるのではないでしょうか。

 

現在は立体作品の制作にも取り組んでおり、有線七宝を用いますのでピンセットと、目が寄りっぱなしになりそうな細かい作業との格闘の日々でもあります。

冬頃にはお見せできるでしょうか。

 

お楽しみに!